税制上優遇される医療法人として、特定医療法人があります。

実際には一般医療法人の法人税率が23.2%のところ特定医療法人になると法人税率は19%になります。

ではなぜ、特定医療法人は税率が軽減されるのでしょうか?

それを理解するためには、まず特定医療法人の説明が必要でしょう。

特定医療法人とは次の通り定義されています。

財団又は持分の定めのない社団の医療法人のうち、その事業及び医療施設が医療の普及と向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与し、かつ、公的に運営されていることにつき、国税庁長官の承認を受けた医療法人(社会医療法人を除く。)」

つまり、財団又は持分の定めのない社団の医療法人で、公益の増進に貢献し、公的に運営していると国税庁が認めるので、税率を軽減しよう、ということなのです。

ですので、公的な性格が医療法人の中に求められてきます。

以下でも説明いたしますが、役員等の親族の割合は3分の1以下、役職員一人の年間の給与総額が、3600万円を超えてはいけないなど、公的な縛りが求められます。これが、特定医療法人化のデメリットな部分とも言えるでしょう。

以下、特定医療法人の基準の細かい説明です。

〔租税特別措置法、租税特別措置法施行令で定める基準〕

1:財団又は持分の定めのない社団の医療法人であること。

2:理事、監事、評議員その他役員等のそれぞれに占める親族等の割合がいずれも3分の1以下であること。

3:設立者、役員等、社員又はこれらの親族等に対し、特別の利益を与えないこと。

4:寄附行為・定款に、解散に際して残余財産が国若しくは地方公共団体又は財団たる医療法人若しくは持分の定めがないもの社団たる医療法人に帰属する旨の定めがあること。

5:法令に違反する事実、その帳簿書類に取引の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装して記録又は記載している事実その他公益に反する事実がないこと。

6:財務省令で定めるところにより帳簿書類を備え付けてこれにその取引を記録し、かつ、当該帳簿書類を保存していること。また、その支出した金銭でその費途が明らかでないものがあることその他の不適正な経理が行われていないこと。

〔厚生労働省告示で定める基準〕

1:医療法人の事業について次のいずれにも該当すること。

(1)社会保険診療等に係る収入金額(公的な健康診査、予防接種、助産、介護保険法の規定に係る収入を含む)の合計額が全収入の80%を超えること。
(2)自費患者に対し請求する金額は、社会保険診療報酬と同一の基準により計算されること。
(3)医療診療収入は、医師、看護師等の給与、医療提供に実施にかかる費用等患者のために直接必要な経費に1.5倍を掛けた額の範囲内であること。

(4)役職員一人につき年間の給与総額が、3600万円を超えないこと。

2:病院を開設する医療法人の医療施設のうち1以上のものが次の全てに該当すること。
(1)40床以上(皮膚泌尿器、眼科、整形外科、耳鼻いんこう科又は歯科の診療を行う病院の場合は、30床以上)

(2)救急告示病院

3:診療所のみを開設する医療法人の医療施設のうち1以上のものが次に該当すること
救急診療所である旨を告示された診療所であって15床以上を有すること。

4:医療法人の各医療施設ごとに、特別の療養環境にある病床数が当該医療施設の病床数の30%以下であること。

以上が、特定医療法人の基準の細かい説明になります。

それでは、どのような手続きをすれば特定医療法人の承認を受けることができるのでしょうか?

以下に手続きの大まかな流れをまとめましたので、確認していきましょう!

1:事前審査(納税地を管轄する国税局の担当部署)
まずは要件を満たしているかを担当部署でチェックしてもらいます。
※遅くとも法人税率の特例の適用を受けようとする事業年度終了の日前6か月前(3月決算の医療法人の場合には前年の9月末)までに行うのが良いでしょう
 

2:書類審査・実地審査
担当部署により書類の審査と実際に病院を訪れての審査が行われます。

3:審査結果(3月決算の医療法人の場合:前年の12月中旬頃)
承認内定の場合には都道府県に定款変更の申請を行います。

4:承認申請(1月末)
承認申請書及び添付書類を各3部提出します。

5:特定医療法人の承認申請の承認通知書がお手元に届きます。

以上が特定医療法人の説明なります。

しっかりと基準を確認し、計画的に申請をしましょう。