平成2891日に改正医療法が施行されるまでは、理事長個人と医療法人の利益が相反する取引(利益相反取引)を行う際には、取引の公正性を担保する観点から、医療法人は都道府県に申請のうえ「特別代理人」の選任を行い、契約は、理事長個人と医療法人の「特別代理人」が取り交わすという手続が義務付けられていました。

それでは、この改正医療法施行後は、利益相反取引が不可能になったのかと言いますと、そうではありません。

改正医療法施行後は、「特別代理人」の代わりとして、利益相反取引を行う場合には、理事会において、「① 取引につき重要な事実を開示しその承認を受け」、さらにその取引後「② 事後報告を行う」ことが義務づけられました。

つまり、改正医療法施行後は、利益相反取引を行う場合には、都道府県への申請(特別代理人選任申請)は不要となり、理事会の事前承認と事後報告という医療法人内部の手続きのみで足りるようになったのです。

ただ、改正医療法では、「利益相反取引によって医療法人に損害が生じたときは、理事又は幹事は、医療法人に対し損害を賠償する責任を負わなければならない」と定められておりますので、取引の是非を判断する理事会では、今まで以上に慎重な判断が求められます。

最後に、理事長個人と法人理事長(同一人物)の契約は、民法の「双方代理」として禁止されていますが、改正医療法では、別途「理事会の承認を受けた利益相反取引については、民法第108条の双方代理の禁止は適用しない」と規定されていますので、医療法人に関して言えば問題ないこととなります。

以上、医療法人の理事長個人と医療法人の利益相反取引を行う場合の手続きについての解説です。